橋本千代さん38歳、現在、従業員23名の人材育成研修の会社で業務管理部門マネージャーをなさっています。マミペパ編集長の石川がお世話になっている会社の契約担当、業務管理責任者です。小耳に挟んだプロフィールがあまりにも素敵なので、思わずインタビューさせていただきました。
うつ病の夫に離婚届を
橋本さんは、営業事務の仕事をしており、出産後も職場に復帰する予定でした。ですが、長男誠司くんはアレルギー喘息で、復職を断念。4歳まで子育てに専念していましたが、ご主人がうつ病に。理由は合併によるストレス。お給料は支払われていましたが、家族三人というよりは会話のない夫婦に咳き込む息子、という暗い構図だったそうです。
とにかく、外に出たい。そうじゃないと離婚してしまいそうだ、と毎日、洗濯物を干しながら、天を仰いでいたとか。誠司くんの喘息も少しずつ楽になりだしてきたこともあり、ついに、離婚届を手にしたそうです。ご主人は何も言わずに、サインを。「しあわせにできなくてごめん」と一言。
でも橋本さんは、「しあわせかどうかは自分できめるから、あなたのせいじゃない。私もあなたとしあわせになるための努力ができなかったから」と会話をしたそうです。そのときに、思ったそうです。
前提離婚の生活
「まだ、何もしていないのに、離婚することがしあわせになることだと決め込んでいる」と。口数が減っていたご主人ととにかく、話をしよう。「離婚は少し延期。でも前提は離婚。それでも、これでいいのかをちゃんと確認したい」とご主人に伝えました。あまりにも言葉を交わすことをしていない約1年の結果、ご主人は「うん。だけど、仕事の話はしたくない」と。橋本さんは、ご主人が得意な英会話を教えてもらうことに。ご主人には橋本さんが得意な料理を教えることに。そこから3ヵ月、とにかくいっぱい話をしました。そしてついにご主人が退職を決意。ご主人は海外からの旅行者をアテンドする仕事に転職。それでも、前提は離婚。
仕事の自由を夫と考えてみた
そんなときに、突然、橋本さんを13歳のときから18歳まで指導してくれた学習塾の先生からメールが届いたそうです。「今、ひま?自宅で仕事できないかな?秘書の仕事で、転送電話を受けて用件を聞くだけの仕事なんだけれど。どう?」一度も考えたことのない在宅の仕事の紹介ではありましたが、仕事の自由を手に入れたご主人を見ながら、自分も仕事の自由を手に入れたいと思い、請け負ったそうです。そのクライアントが今の会社の社長。その当時は、社長は起業したものの、社員と3人で研修事業をしていたそうです。
在宅秘書の仕事
(hana):最初は在宅秘書でスタート、しかも「前提は離婚」だったとは、珍しいご夫婦関係でしたね。
(橋本):そうですね。実は、離婚前提は今も解消していないんです。主人が、離婚が最悪状態だから、それを回避する努力をすればいい、と思う方が生きるのが楽になったというので。主人がそれならば、と思い、離婚届けは今も、書棚の引き出しに入っています。署名入りで(笑)
(hana):ほほう・・・・・。もしかして、お守りですか?
(橋本):まぁ、そうかもしれませんね。夫婦であり続けることは、私たちには大切な生きる条件だと二人で気づいたんです。それを守るためには、努力をする、うれしい努力をすることだって。なんとかしなくちゃって思い込むだけの努力はしたくない、って。離婚届は肩の力を抜くためのお守りかな。
(hana):まぁ、なんとなく、わかる気がしますね。
(橋本):会社の社長には、ずっと、在宅秘書でいたい、とお願いしていたのですが、会社が急激に成長して、東南アジアでも事業をすることになったので、在宅を卒業することになりました。息子もちょうど小1の壁を越えられそうになったので。
(hana):でも、いきなり業務管理のマネージャーというのもすごいですね。
夫が仕事の家庭教師に
(橋本):(笑)うつ病だったころの主人がね、「君には仕事が向いているから、契約管理や経理関連の業務を覚えるといいよ」って実は、彼が仕事で書き溜めたノートを見せてくれて、「事例研究」をしてくれたんです。おかげでなんとなく「何をすればリスクが少ないのか」ということだけは頭に入りました。それに、まさかの主人直伝の英会話が東南アジアンの仕事で役立って・・・。社長がマネージャーにしてくださったんです。
ラッキーなだけなんです。
ラッキーの条件
(hana);いえいいえ、ラッキーというのはラッキーになるだけの準備をしていないと引き当てられませんから。これは、活躍している女性の絶対条件です。
(橋本):そうですか。ありがとうございます。主人のおかげですね。主人の心も元気になってきて、最近はPTAにも私の代わりに参加してくれています。
(hana):よかったですね。お仕事は楽しいですか?
(橋本):もちろん、です。今年は、はじめて入札の札入れも経験しました。勝ったので、余計にうれしくなって、大騒ぎしてしまいました。これからは、もう少し、チャレンジすることを多くしたいですね。
(hana):充実した時間をすごしていらっしゃることが伝わってきます。「前提、離婚」バンザイ!ですね。今日は、お忙しいところ、お時間をいただきまして、ありがとうございました。