【学習の進め方】
この講座では、基本的な「ターニングポイントマネジメント」のメソッドを8回にわたって解説していきます。毎回、実例を挙げながら理解を進めていきますので、楽しく読み進めてください。「ターニングポイントは風の中で」の著者である石川かおるのターニングポイント経験談です。ドラマのようなストーリーを読みながら、なりたい自分を考える時間にしましょう。
講座の最後に「なりたい自分になるノート」があります。第三回の課題は、「私のロジカル度」です。理想とするロジカル行動比率を考えてみましょう。
<ライフロジカル体験談>を募集しています。このテキストを読んで、「私もやっていますよ♪」というお話があたらば、ぜひ、投稿をお願いします。
第三回 テーマ:勘とヒラメキからライフロジカルへ
(1)勘とヒラメキから「ライフロジカル」へ
「働き続けるために、自分がしたい仕事を自由にできるようにする」と決めた私の仕事
ぶりは、一言で表すと「ロジカルになった」ということだと思います。とにかく、受けた指示や自分で進める仕事、さらには家事育児に至っても、「判断を必要とする事象・問題の発生」であるかという可能性を最初に検討することがルーティンになりました。ロジカルシンキングの基本ですが、マッキンゼーの本から学ぶような難しいものではなく、生活の知恵のレベルです。「ライフロジカル」とでも呼ぶことにしましょう。このライフロジカルが、勘とヒラメキの20代を過ごした私に、転機の種をもたらしたのです。
では、その当時の私の行動を思い起こしながら、ライフロジカルになっていった経緯を
明らかにしていきましょう。
注意:「ロジカル」「論理的」という文字を見ただけで、「私にはできない」「苦手だ」「頭のいい人の話だ」と思ってしまった方は、勘とヒラメキのみで出産した、いい加減な母親の体験記だと思って、読み続けてくださいませ。
まず、出産を機に物事の捉え方は大きく変わりました。どうしたら、子育てでのリスクを小さくできるのか、子どもを安全に育てることができるのか、そればかりを考えていました。なにせ、勘とヒラメキだけのいい加減な私は母親学級にすら参加していませんでしたから。出産前の私は、何事につけ「なんとかなる」という根拠の無い自信で生きていました。実際に、まさかと思うような職場のトラブルに遭遇しても、勘とヒラメキで周囲を驚かせるような問題解決をしたこともあります。ですが、なんとなくできてしまった、というだけでした。トラブルを引き起こさない準備が不足していた、未然に防げたはずだ、なんて考えることすらありませんでした。
ですが、出産、子育てはこの場当たり的な考え方では、取り返しのつかないことになる、
と実感したのです。なぜ、子どもが泣くのか、なぜ、イヤイヤするのか?がわかりませんでした。気がついたら、「どうして、泣くの?ママはどうしたらよいかわからないよ」と子どもと一緒に泣き崩れていました。何日も、何回も。ついに子どもが母乳を嘔吐するように。病院に連れていきましたが、小児科の女の先生に最初に言われた一言は、「あなたが私の質問に正しく答えてくれないと経過がつかめないから、的確な診断ができないわよ」でした。先生は、新米ママに「子育ても仕事も同じだよ、勘ピュータじゃ、取り返しがつかないこともあるからね」と笑いながら言葉をかけてくださいました。
その先生の言葉が私には良い薬になって、「育児ノート」を付けはじめました。最初は、思ったことをなんでも書いているような「愚痴ノート」。ですが、それでは「気にかけていると役に立つこと」がわかりづらいと気づきました。そこからは箇条書きで記録し、役に立つことは☆マークに。なんといっても、育児では、対処するための方法を探す時間的猶予はほとんどありません。経験した情報では対処法を判断できない時は、外部に尋ねるしかありませんでした。そこで知り得たことをノートに書き足していくというルールです。おどおどしながら、いろいろな人に話を聴きました。自分しか見ていない、人付き合いが苦手な私には、勇気のいることでした。
出産、子育ては女性にとって、人生での「はじめて」の経験です。そして、逃げることのできない、逃げたくなんてない、責任のある仕事でもあります。子育ては「はじめて」に挑む、心得、挑み方を私に教えてくれたといえます。そこには、子どもの安全を守るために必要な、冷静に問題解決策を選び出すプロセスを、論理的に進めるロジカルシンキングが必要でした。
何よりもロジカルになっていると、「はじめて」に対する不安が消えました。どうして、その方法が◎なのか、〇なのか、という根拠がわかっているからです。根拠をもって、自分で選んだからです。後悔したくないから、ロジカルに考えて、結論を選んだのです。この頭の中のプロセスは、心を強くし、エネルギーを溢れさせました。身体の中が熱くなるような気がしたのです。後になって気づいたのですが、これが「自信」なのだ、ということに。勘とヒラメキの私には、薄っぺらな「Lucky感」しかありませんでした。ですが、そのときから、自分が選んだことに「自信をもつこと」が、なりたい自分になることでもあると思えました。
決して、1行2行の文章で書き表わすことができるようなことではありませんが、「子どもを産まない」「子どもをもたない」という決意をした方にとっても、同じことが言えるのではないでしょうか。その決意も「はじめて」のはずです。その結論は根拠に裏付けられたものであり、そのプロセスは心を強くしてくれる未来への選択であると思います。
(2)身近なライフロジカルの演習
子育て期間は、ライフロジカルの演習期間だったのだと思います。子どもが誕生日を迎えるたびに、発生する問題は異なっていきます。経験を活かしながら、また新しい解決策を見つけ出していく、という繰り返しです。いつも、小児科の先生に言われた「あなたが私の質問に正しく答えてくれないと経過がつかめないから、的確な診断ができない」という言葉を思い出していました。
もちろん、簡単にロジカルな考え方や行動が実践できるようになったわけではありません。自己査定以上に、「勘とヒラメキ」の思考習慣は根強く残っており、せっかく導き出したロジカルな思考を粉砕するような(私の中での)事件が何度も発生しました。そのたびに「こんなの私じゃない!」という悲しい気持ちに。感情で物事を捉えてしまう、悪い習慣がいざという時に顔を出すのです。考え方を変えても、その考え方に合わせた行動を変えないと、結果が変わらない、そう思いしらされました。
少しずつですが、何らかの問題が発生したら、初動を正しく、十分に行うことから始め
ました。「判断を必要とする事象・問題の発生」であるかという可能性を最初に検討するということです。ライフロジカルが、生活全般のいたるところで実力を発揮していきました。
たとえば、かぼちゃの煮物で説明を。息子が小さい頃は、かぼちゃの煮物をつくると、いつも失敗ばかりでした。夫がかぼちゃ好きなので、惣菜を1品増やすつもりでつくるのですが、焦がしたり、みずっぼくなったりと上手くいかず、でした。では、かぼちゃの煮物を失敗しないための方法を考えてみます。まず、かぼちゃが焦げる場合の原因を考えました。かぼちゃを味付けして煮る時間を5分と決めると、その間、鍋の様子を見ることなく、他の台所仕事をしていました。体内時計で「そろそろ」と決めて、鍋をみると焦げ目が・・・・。次に、みずっぽい時の場合はというと、焦げた時の加減から、いつもよりも水を多めにしていた、にもかかわらず下煮の時間を考えずに味付けをしていたので、みずっぽいままの仕上がりになる、ということでした。
そこで、理想的なかぼちゃの煮方を調べて、今までの失敗点を整合することで、改善点を決めました。結論は、美味しいかぼちゃの煮物をつくるには、かぼちゃの種類によっても煮方が変わるので、最初にかぼちゃのタイプを識別し、下煮の水の量と煮る時間、味付けのタイミングと最後の味を染み込ませる時間を決めておき、想定とは異なる状態が発生しないかを目視確認しながら進める、ということになりました。おかげさまで、最近は、かぼちゃの煮物をはじめたら、下煮、味付け後の染み込ませるために煮る時間、それぞれの目安時間内でできる下ごしらえなどを行うように段取りしています。もちろん、かぼちゃの煮物は失敗しておりません!かぼちゃ産地、種類別の情報もインプットしております!
かぼちゃの煮物を美味しくつくって、家族に食べて欲しいと思うと、ロジカルになることが失敗しないための基本行動であり、効率よく、家族からの賛辞を得る方法でもあります。褒められることは、モチベーションにつながるので、台所仕事が楽しくなり、食事のバリエーションが増えていきます。これならば、簡単に行動を変えることもできます。もしくは、私のような勘とヒラメキ型ではない女性は、当たり前のこととして、無意識にしていることなのかもしれません。女性は感情的だと言われますが、実は経験則重視型のロジカルさをもっているのです。eレシピをみながら料理をするのは他者の経験則を情報にして、成功率の高い調理をするというロジカルな発想なのではないでしょうか。実は、「行動を変えること」にも心を開いているように感じます。
【なりたい自分になるためのノート】
課題1 あなたは「勘とヒラメキ」と「ロジカル」をどのくらいの比率で行動しています
か?
① 私の「勘とヒラメキ」の冴えているところはこれ!
② 私の「ロジカル」な行動はこれ!
③ こんな場面で「ヒューマンスキルに溢れたロジカルさを発揮したい!」を
書き綴ってみましょう。毎日の目標になります。
<お願い> あなたの「ライフロジカル」体験を教えてください。
「私は、~をするときにライフロジカルをしています♪」投稿をお待ちしています。
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