Mammy's paper(マミーズペーパー)の「記事」

【学習の進め方】
 この講座では、基本的な「ターニングポイントマネジメント」のメソッドを8回にわたって解説していきます。毎回、実例を挙げながら理解を進めていきますので、楽しく読み進めてください。第一回の事例は、「ターニングポイントは風の中で」の著者である石川かおるのターニングポイント経験談です。ドラマのようなストーリーを読みながら、なりたい自分を考える時間にしましょう。
 講座の最後に「なりたい自分になるノート」があります。課題がありますから、まずは書き綴ってみましょう。自分を知る時間になります。

第二回テーマ:ターニングポイントマネジメントとは

転機は「想いと方向性」が明確に存在すると、「種」として「発芽に向けて」育ちはじめます。種が「良い転機をもたらす品種」であるかは、育ちながら決まるようです。つまり、「想いと方向性」を認識したときに、そのためにどのような方法や考え方で育てるのかが、品種を決めるのです。

 「今までの経験やできることで種を育てよう」と考えると、勘で事足りてしまうので、知的栄養の不足にも気づかないまま、転機の種を枯らしてしまうことがあります。「今までの経験やできることで種を育てることが自分のプラスになるのか」と検討したり、「今までに経験したことのない方法を探したり、周囲のアドバイスを求める(はじめてに挑む)」ことを選択すると、いろいろな角度からゼロベースで考え、成功との因果関係を検証しながら、育て方を考えます。つまり、ロジカルに考えているので、種の育成は成功率が高まるのです。さらに、ロジカルに考えて行動することは、ゴールがイメージできるので、意欲が高まり、エネルギーに溢れます。

 つまり、ロジカルに考えることが「転機の良い種」を育てることになるのです。それらの一連の行動は、「行動を変える」という大きな自己改革につながり、溢れるエネルギーは背中を押す「転機の風」を巻き起こします。そして、その風の中で、転機の種は花を咲かせ、結実します。「なりたい自分に近づく」ためのターニングポイントの実現です。結実すると種ができ、それはあなたの中の無意識ゾーンの中に息づいて、次の「想いと方向性」の存在を認識する日を待ち続けます。

 これが、ターニングポイント発生のメカニズムです。変わらぬ日々の中で、大小を問わず判断を必要とする何らかの事象や問題が発生したときに、「想いと方向性」が存在すると、「転機の種」があらわれます。想いと方向性が存在しないと、「何のために」が不明瞭になるのでロジカルに考えることができないのです。

 時として私たちは、「あれは運命としかいいようのない転機だった」というように言うことがあります。本当にそうでしょうか。誰も「運命」の定義をすることはできません。ですが、少なくとも「想いと方向性」によって出現する「転機の種」という仮説を心得ていると、人生に訪れる手強い問題にも「そろそろ転機の風が吹くころかもしれない」と自覚ができ、論理的に解決することができるのではないでしょうか。

 ターニングポイントマネジメントとは、「想いと方向性」の存在を自分が認識した時に、
転機の種を確認し、「転機の良い種」にできるようにロジカルに課題・問題解決にチャレンジする自己管理方法のことです。
そして、ターニングポイントとは、ロジカルさと「はじめて」に挑むエネルギーをもった人だけが描くことができるライフストーリーのsubtitlesなのです。

変わらぬ日々だったはずが

 「変わらぬ日々」というのは、簡単に言うと「判断を必要とする事象・問題が発生しな
い日々」という意味です。私たちは、「自分は穏やかな日々を過ごしていて、何も問題がない」と思いたがります。ですが人生における事実は「判断を必要とする事象・問題は発生していない、と思い込んでいる日々」もしくは「気づいていない日々」であることをうすうすとは気づきながらも、認めていないというだけのことです。

「もっと早く気づいていればこんなことには」という他者の言葉を他人事のように聞き流しているのかもしれません。「自分だけは大丈夫」と思いたいのかもしれません。まさに勤務先の専務のお力添えで、社内コミュニケーションの失敗にも気づかず、好き勝手に仕事をさせていただき、奇跡のような経験をすることができたことにも気づいていなかった私もその一人です。私にとっては「変わらぬ日々」であり、「稼ぐための日々」に過ぎませんでした。

 その当時の仕事ぶりを思い出してみました。もちろん嫌なことはいっぱいありました。それでも子どもを保育園に預けて働くということは生活費を稼ぐという目的以外にもかすかな喜びがありました。一人で外に出てランチをしたり、本を読んだりする時間をキープできることは気分転換や家事育児のストレス発散にもなりました。そういう時間は、頭がペパーミント状態というか、スッキリ、さわやかな気分になれました。変わらぬ日々の息抜きのようなものでしょうか。

昼休みが終わると、そこからは定時退社のための段取りと仕事のスピードアップに没頭していました。「今日も定時退社だね。やることが早いね」と先輩社員、特に男性社員に声を掛けられながら退社、そのまま一気に駅まで早歩き!今、思い出しても、なかなかのスゴ技定時退社術でした。なにせ、退社時間の90分前には、周囲の社員に「お手伝いできることはありますか?」と御用聞きをしていました。しかも「退社時間の15分前までにできること」、という条件をつけていました。

「今日終わらなくても、明日の午前中までにやっといてくれればいいよ」という依頼があると、あらかたの仕事を終わらせて、これで間違いがないかを退社時間前には確認していました。そこまでやっておけば、明日の朝は簡単な作業で終わりますから。男性社員にしてみれば、「今日も定時退社だね。やることが早いね」という言葉は、嫌味のつもりだったのでしょうが、そのころの私には、ただの音にしか聞こえませんでした。

 スゴ技定時退社術の他にも、他の社員がしていない不思議な行動をとっていました。1つ目は、上司が他の社員に指示をしているときに、不思議なほど耳がダンボになっていたことです。ある時、上司が金融絡みの難しそうな書面作成指示を他の社員に出しているのをキャッチ。席は3つほど離れていたのですが、私の耳は感度を高めて、そのほとんどの内容を聴きとっていました。しかも「my仕事ノート」にメモを取っています。ノートをデスクの引き出しにしまいながら「なるほどね。クリアだね」とつぶやいています。

その当時、私がよく心の中で使っていた独り言です。いえ、もしかすると、声に出してしまっていたかもしれません。意味は、「理解できたよ。そう難しくはないね。このくらいならば、いつでも指示されたらできそうだ」ということです。情報を1つでも仕入れたという満足感があったのか、my仕事ノートをデスクの引き出しにしまう時は、口元がにやけていました。一度、隣の席の女性社員に「何か、いい事でもあったのですか?にやけていますよ」と訊かれたことがあります。

男性社員に出される指示は、成果を期待される内容が多かったのですが、女性には出されることはありませんでした。この情報を使える可能性はないかもしれないが、知っていれば、自分に出された指示の背景がわかり、仕事がしやすくなる、と考えていました。というのは、指示どおりに仕上げた仕事を「これだけだと使えないな・・・。まぁ、いいや、ここからは〇〇君にさせるから」と上司に言われた経験があったからです。

そのことは、私にとっては事件でした。「上司の指示が悪いだけなのに」と怒りがこみあげてきました。少し前の私ならば、それ以降、プッツンとキレてしまい、口もきかなかったかもしれません。ですが、そのころから、転機の種は発芽に向けて準備を進めていたようで、「この上司と一緒に、この会社で仕事をしていくためにはどうしたらよいのか」と考えました。そして次の瞬間、「ちがう!この会社で生きるためじゃないよ。ずっと自分がしたい仕事をし続けるためには、どうしたらよいのか、を考えなくては」という想いにたどりついたのです。その日は夫との愚痴ビールタイムは、グラス1杯で終わり、久しぶりに日記を書きました。「働き続けるために、自分がしたい仕事を自由にできるようにする」という文字が強い意志を書き残すかのように並んでいました。

 2つ目は、マニュアルやガイドブックを読み漁っている姿です。その当時は、システム移行などの仕事は、言われたことを完璧にすればよい、というほど簡単ではありませんでした。担当者から説明は受けるのですが、ゼロベースの仕事だったので、説明自体が理解できません。私は英語版と日本語版のマニュアルを見せてもらい、突合せをしながら、根本的な理解をすることに決めました。

定時退社の身の上なので、勤務時間だけではなんともできず、自宅にマニュアルを持って帰る許可を取り付けました。そこからは、夫が犠牲に。私よりもずっと早くシステムやPCの知識があった夫を毎晩、質問攻めにしました。その挙句に「そんな説明ではわからない!自分でわかるまでやる」と言い切っては朝方まで。ですがこれもはじめてではありませんでした。ワープロが世に出たころにも同じように夢中になって「はじめて」に挑んでいました。問題を解決するアイデアが浮かんだ時のエネルギーに溢れる感触を今も覚えています。

「転機の種」の正体

 ここまで思い出して気づいたことは、「変わらぬ日々なんてどこにもない毎日だった」ということです。無意識のうちに自分が求めている生き方を自分で選んでいたということなのでしょう。高校時代に病気を患い、「まぁいいや」を口癖にしていた私は、子育てがはじまると「平々凡々」という言葉を幸せの代名詞のように使っていました。ですが、どうやら自分の意思で「my仕事ノート」を書き始め、情報収集をしはじめていたようです。そして、自分の意思でゼロベースの仕事を成し遂げるために自宅での自己学習を選んでいました。

大小を問わずに判断を必要とする事象や問題の存在を認識し、「どうしたらよいのか」「どうしたいのか」という意思と具体的な解決策を模索していたのです。「人生は未来への選択で変わる」と実感する私がここにいます。そして、この未来への選択こそ、舞い降りてきた「転機の種」の正体なのです。

【なりたい自分になるためのノート】
 課題1 あなたに発生している事象や問題を「あれ?何か変だ?」と認識することはでき
ていますか?「変わらぬ日々などはない」という前提で、探してみましょう。

 課題2 1で見つけた事象や問題をどのように解決するのかを、「今まで通り」「はじめて
に挑むとしたら」という2つに分けて考えてみましょう。

編集長
編集長
イシカワカオル 女性

コメント

  1. […] 「働き続ける女性のためのターニングポイントマネジメント基礎講座 第二回」は こちらから […]

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