Mammy's paper(マミーズペーパー)の「記事」

【学習の進め方】
この講座では、基本的な「ターニングポイントマネジメント」のメソッドを8回にわたって解説していきます。毎回、実例を挙げながら理解を進めていきますので、楽しく読み進めてください。「ターニングポイントは風の中で」の著者である石川かおるのターニングポイント経験談です。ドラマのようなストーリーを読みながら、なりたい自分を考える時間にしましょう。
講座の最後に「なりたい自分になるノート」があります。第5回の課題は、「TPM実践②」です。「今、身につけておきたい能力・技術」を考えることです。
<風が吹いたときの私 体験談>を募集しています。このテキストを読んで、「私も変わり始めたことを感じました」というお話がありましたらば、ぜひ、投稿をお願いします。

第五回 テーマ:今、自分が集中すべきスキルアップをみつける

(1)「なりたい自分」を「想いと方向性」で明らかにする

「このままじゃ、生きづらい世界の中で溺れてしまう」と、出産後に社会復帰した会社を辞める判断をしました。ですが、その時の私は、決して感情的ではありませんでした。ロジカルな一次判断であったことは、その後の行動で頷けます。悲鳴が出るような思いを抱いてはいましたが、自分の仕事を評価してくださった方の存在は、自分の可能性を信じさせてくれるものであったからです。

職を失った私は、快晴の心地よい日を選んで、「オフィス石川」というプレートをマンション1階にある自室の郵便ボックスの名前に書き加えました。在宅で「企業のサポートをする仕事をしたい」と考えたのです。社内への説明資料や報告書、提案書や企画書、書類一般の作成、会計ソフトの入力などです。必要なときに、会社に伺ってデータをお届けするというサービスです。

ただし、すぐに「開業」しようと決めていたわけではありません。「なりたい自分」を「オフィス石川」というプレートに表現しただけなのです。毎日、ポストを見るたびに、「私の選んだ未来」がそこにあると思い、勇気が湧いてきました。「オフィス石川」という社名は、10年を待たずして、最初に立ち上げた会社の社名になりました。

この段階で、「なりたい自分」と「想い」は明らかになりました。残るは「方向性」です。
まだその当時はパワーポイントなんてありませんでしたから、資料作成といってもワープロで行っていました。しかし、前職で計算ソフトやシステムからのデータ抽出という仕事を経験したことが、「システムやソフトを使うことができることだけでも、私の仕事価値は高くなる」と考えていました。

そこで、①システムやソフトを使える仕事、②新しく何かを立ち上げる仕事、そして③法人営業の仕事を経験しておくことが「開業」への近道だと判断しました。方向性は「独立開業」であり、そのために、①スキルアップ、②仕組み化ノウハウ、③法人顧客獲得ノウハウの修得を目指すことにしたのです。今、振り返っても、よく考えたものだと思います。

私に舞い降りた「転機の種」は、エネルギーに溢れた「転機の風」に吹かれながら、「転機の良い種」になり、順調に「発芽」していきました。もちろん、その間にも何度もさらなる「転機の種」は舞い降りてきました。一歩間違えば、心の葛藤に負けてしまい、転機の種を枯らしてしまいそうになることもありました。ですが、そのたびに、忘れることのできない出会いがあり、やりがいのある仕事環境をいただくことができました。

きっとその環境をくださった方々は、私のそんな思いを知ることもなかったでしょう。あちらにしてみれば、ちょうど日本中の会社が社内のシステム構築をはじめたところで、仕事の仕方を変えざるを得ない時期だったのです。「誰も知らない、はじめてのことにも嫌がらずに取り組んでくれるので助かる」という程度のことであったと思います。とにかく、夢中で仕事をしました。今、身につけるスキルやノウハウは、「生きづらい世界」から脱出するためにはどうしても必要だったからです。

少しずつ残業も増えていきました。息子もすでに小学校高学年になり、留守番ができるようになっていましたから。主人も繁忙期以外は、早めに帰宅してくれました。何よりも、ご近所に手軽に夕飯を食べることができるお店が開店したこともラッキーでした。そして、いよいよ息子の中学受験時期が近づいてきました。残業は避けるようにして、早出に切り換えました。この方法だと、後輩や部下に指示や打ち合わせをするための時間が減ってしまうのですが、メールと携帯電話というアイテムがそれを補ってくれることに。

(2)親として、先輩として、子どもに「見せる背中」

多くの女性に伝えたいことがあります。働き続けるかどうかを悩んだ時には、「子どもは大きくなる」「世の中は便利になる」ということを忘れずに考えてみてください。そのことを意識せずに、子どもが大きくなったら、もう少し世の中が便利になったら、と思っていると社会復帰しても「適応能力」が低くなってしまい、仕事の選択も、給与の選択もできなくなります。

そのうえ、社会の変化に疎くなってしまうので、どんどん「遅かれ早かれ無くなってしまう仕事」「AIやRPA(データ入力などの事務作業を広範囲で行うソフト)によってIT化されてしまう仕事」にばかり就くことになります。地方は普及が遅いからと思っている女性も多いようですが、人手不足は地方も同じです。人手不足に対処するためには、RPAのようなソフトの導入が国の補助の元に行われますから、地方こそ、働く場所は限られていくのです。ママさんたちの就職希望の一番は「事務職」ですが、現状の事務職は不要になります。必要なのは、システムのプログラムを読めるようなクリエイティブな事務職です。

何よりも、子どもたちが小学校でプログラミングを学習する時代です。親として、人生の先輩として「見せる背中」はどうありたいのか?と考えてみることも大切です。決して、プログラマーになりましょう、ということではありません。「その時代に必要とされていること」に背を向けない母親でありたいと私は思います。

そうこうしながら子どもは大きくなります。ほっとしていると、子どもがいる、いないにかかわらず、介護が近づいてきます。介護は、社会制度や民間サービス、行政手続きなどを勉強しないと、権利すらも行使できなくなります。何度も、問題が発生し、そのたびに思わぬ「転機」を迎えることもあります。その転機をロジカルに一次判断できるかが、自分自身の未来、家族の未来を選択するうえで重要になります。

あなたの目の前には、今、判断すべき事象や問題は発生していませんか?そこに気づくためのロジカルな一次判断をすることにトライしてみましょう。

「変わらぬ日々」を続けることができるような時代ではないことを強く認識することです。人生は未来の選択で変わります。

【なりたい自分になるためのノート】TPMを実践してみましょう。
課題  今、あなたが「身につけておきたい」と考えて能力や技術はどのようなことですか?
① 今、気になっている「最近の、これから多くなる新しい仕事」を探してみましょう。
② ①を選んだ理由を書き綴ってみましょう。
③ もし①で選んだ仕事をするとしたら、「今、身につけておきたい」能力や技術はどのようなものですか。具体的に書きあげてみましょう。

マミペパ編集長

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