色と戯れる
デンマークの街並みを見ると日本とは異なる色彩感覚を感じるけれど、紅白の国旗やインテリアの世界観を眺めるとどこか親近感を覚えます。それは「自然」を愛しむシンプルな空間作りというベースにありそう。この日本人に共感を呼ぶベースに乗せる「色」の感覚こそが私たちの好奇心を刺激する住空間をヒュッゲにする秘密の一つ。
モノトーンやナチュラルなど無難にまとめがちな私たちの室内と違い、大胆な配色をさりげなくこなす彼らの空間作り。それは一辺倒なインテリアに満足せず、住空間を自分の世界作りの大切な土台と見る気概すら感じるほど。
出典:https://www.houzz.jp/photos/phvw-vp~56492713
「色」を楽しむ空間作りに活用したいのはその効用。例えば赤には活力・刺激、橙には楽しさ・食欲、黄には希望・集中力、緑には安心・リラックス、青には鎮静・爽快などの「色」の力は侮れません。好きな色を選ぶだけでなく、シーン毎に「色」を効果的に配置することがヒュッゲな空間には欠かせません。
また大胆な色使いとはいえ、シンプルなベースの中に入れ込む「色」は2色位まで、かつ全体の10%〜15%程に抑えることがヒュッゲの秘訣。
出典:https://www.houzz.jp/photos/phvw-vp~45437704
灯りにくるまれる
インテリアを考えるとき、意外と後回しになるのが照明計画。日本では全体照明が一般的なためか部分照明を使わないことも珍しくありません。対してヨーロッパでは日中のオブジェとしては勿論、マジックアワーを過ぎる頃一気にその存在感を増すのが「灯り」。
北欧インテリアではこの「灯り」の存在がまるで一つの家具の様に大切に扱われている様に思います。特に真似したいのはシーン毎の「灯り」の配置。家事をする時、食事をする時、読書をする時、ソファでくつろぐ時。一つ一つの場に寄り添う「灯り」にくるまれることで、時間と共に移り変わるインテリアに。
また彼らのライフスタイルに必須のアイテムがキャンドル。キャンドル消費量は北欧がトップ。実はキャンドルは灯りでありながら、1/fゆらぎという癒し効果をもつヒーリングアイテム。
忙しい毎日の中でキャンドルを灯す時間なんてと思うけど、1日の内5分でもゆらめく炎の時間を作って。窓際に、ダイニングに、寝室に。一瞬の時間の隙間にキャンドルを灯せば、ヒュッゲな空間は意外と簡単に手に入るのかもしれません。
幸せの秘密
デンマーク人が家具にお金をかけ、住空間にプライオリティを置いていることは、住まいが幸福感と深く結びついていることを物語ります。一方ヒュッゲのもう一つの要素は時間の過ごし方。家族と、友人と、一人でゆったりとした時間を過ごす。自分にとっての心地良さを味わう時間に貪欲であることが彼らのライフスタイルの基盤にあります。例えば料理家のコウケンテツさんは日本人は家庭料理に高いレベルを求めすぎるといいます。夕飯を思い切ってシンプルにする、もっと電化製品に頼る、適当を良しとする、時間とお金を天秤にかけてみる…私たちが今一番に取り組むべきなのは、価値観の断捨離のようです。