Mammy's paper(マミーズペーパー)の「記事」

ワーキングママが感じる見えない“働きにくさ”を解消したい。

――これまで、三度の産休・育休・復職を経験していらっしゃいますが、その中で気づいたことや感じたことなどはありますか?

斉藤:

ワーキングママのための制度は、ある程度整ってきているなと感じています。例えば在宅勤務OKや時短勤務OKなどが一般的でしょうか。ただ、それをワーキングママのための制度とカテゴライズしてしまうと、その制度を使うことに引け目を感じてしまうママさんは多いと思います。周りの人も「あの人はワーキングママだから仕方ない…」という暗黙の空気が流れてしまうと思うんですね。

実際に、私自身も制度を使うことにものすごく引け目を感じていました。早く帰るにしても、休むにしても、周囲に謝り倒して「すみません。」と常に申し訳ない気持ちを抱いていました。できれば家からでも仕事をしようと無理やりパソコンを開いて作業することもありましたね。

いろいろなメディアを見ても「ワーキングママは配慮が大事」「当然の権利とは思ってはいけない」と書かれていて、それは理解できるのですが、そうなるとワーキングママは、表には見えない働きにくさを常に感じ続けなければならないのです。

 

――制度が整っているからといって、ワーキングママが働きやすいとは限らないのですね。

 

斉藤:

はい、私は現在ダイバー推進部で勤務しているのですが、普段携わっている業務を通して、ワーキングママが真に働きやすい環境を作るためには、ワーキングママだけではなく、全ての人を対象にした制度が必要なのではないかと考えるようになりました。

例えば、私の会社ではリモートワークを推進し、多くの従業員がリモートワークを利用しているのですが、実際にワーキングママからは「罪悪感を感じなくなった」という声も沢山届います。リモートワークを推進する中で、もちろん受け入れられない方もいるので、そこは丁寧に進めていく必要があるのですが、全員がフレキシブルに働くことができれば、最終的には幸せになる人が一番多いのではないかなと、私は感じています。

 

また、仮にワーキングママに対して手厚い制度が普及したとしても、平日の夜はワンオペになる人が多いのが事実です。実際、一人で子供をお風呂に入れるのはしんどいので、そのしんどさが解消されないと3人子供を作ろうとはなかなか思えないでしょう。

ですが、パパが毎日6時~7時に帰ってくる日常であれば、考え方は変わってくると思います。「夜パパが手伝ってくれるのなら、子供を増やしたい!」と前向きに考える方は多いと思います。つまり、本気で少子化対策を進めるためには、ワーキングママだけではなく、男性も早く帰れるような制度を整えることが重要であると、私は考えています。そういう意味でも、リモートワーク制度をはじめとする支援制度を広めていく意義を感じます。

――斉藤さん自身が3児のママであり、かつダイバーシティを推進するお仕事をされているからこその気付きですね。

 

斉藤:

そうですね。少し前までは、子育てをしながら働く女性は「スーパーウーマン」という認識が強かったのですが、現代はスーパーウーマンではないママも働きながら育児をすることが当たり前になってきました。もちろん私自身もスーパーウーマンになれないのはよくわかっています。しかし、メディアに取り上げられるワーキングママは、ほとんどがスーパーウーマンなので、一般的なママはロールモデルがない中で日々模索している状況です。

これからは、一般的なワーキングママがどんどん増えていきますので、私を含めた多くのワーキングママが無理せず、生き残っていけるような社会を作っていかなければならないなと感じています。

 

自分の考えや想いを整理して、決断していきたい。

――ママが無理せず当たり前に働ける社会になれば、自然と少子化対策になりそうですね。それでは最後に、斉藤さん自身の今後の働き方について教えていただけますか?

 

斉藤:

実を言うと、大変お恥ずかしながら、今まさに働き方を模索している状況です。というのも、今は業務委託として勤務しているのですが、これは復職の際、正社員と業務委託という選択肢をいただいて選んだ結果なのです。ただし、この先正社員に戻るのか、あるいはこのまま業務委託でいくのかを悩んでいます。

正社員になればより責任のある業務を任せてもらえるので、一層のやりがいを感じることが出来ますし、自身の成長にもつながると思います。また、社会へ発信力のある会社なので、ダイバーシティを推進している成功事例として世の中に少しでも影響を与えられたらいいと期待しているので、一社員としてそれに貢献したいという気持ちもあります。

業務委託は雇用の安定性は保証されない代わりに自由度が高く、働きやすい点がメリットですね。また正社員以上に副業がやりやすいので、自分自身でやりたいことを突き詰めていくにはより適しています。

責任や仕事を取るのか、動きやすさを取るのか、安定性を取るのか、、など現在進行系で悩んでいるところです。

結婚して、子育てをする中で、私自身の軸も変わってきていまして、昔はずっと働いていたい。大きな仕事に関わりたい。という気持ちが強かったのですが、今では子育ての楽しさや大変さも感じるようになり、やはり子供のそばで寄り添ってあげたいという気持ちも出てきています。どこかでバランスを取るのが重要だと思うので、あと1~2年の間には、自身の考えを整理して、決断していこうと思います。

 

――子供を産み、育てていく中で、人生の価値観も変化していくのですね。

 

斉藤:

そうですね。今では、自分がダイバーシティの最先端にかかわらせていただいているということも相まって、多くのママさんに「多様な働き方」「多様な生き方」を教えてあげたいという気持ちが強いです。引け目を感じたり、無理をして働いたりするのではなく、もっと自由度の高い働き方があるんだよということを発信していきたいと考えています。

 

――斉藤さん、ありがとうございました!今後のご活躍を応援しております。

EndoAzusa
EndoAzusa
マミーズペーパー編集部所属のライターです。 日本の歴史と文化、自然をこよなく愛する。将来は地方で教育環境を作るのが夢。 昔から文章を書くのが大好きで、現在はライターとしてインタビュー記事やイベント開催報告記事を書くことが多い。

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